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高級炊飯器で食べ比べ 【本誌全文掲載】
各社個性豊かな味わい
食べた感想をトークに生かす

秋になればやってくる新米の季節。炊飯器商戦の本格的なスタートだ。高級炊飯器で炊いたご飯のおいしさを伝えるのに、説得力があるのは食べた人の感想だろう。そこで、編集部員が食べ比べイベントに参加し、各社の味の違いをまとめた。

 今回、本誌編集記者が参加したのは「カデンカフェ」というイベント。主催は総合家電フリーマガジン「カデンプラス」を発行しているプラスワン・クリエイティブだ。
 「カデンカフェ」は、多くのユーザーに最新家電の魅力を知ってもらいたいという主旨で行われたユーザー参加型の家電体験イベントだ。これまで2014年に「炊飯器」、2015年に「調理家電」と「炊飯器」の食べ比べイベントを開催した。
第4回となる今回は、参加者から好評の「炊飯器」の食べ比べを開催。東京都豊島区のカフェ「都電テーブル」を貸し切って行われた。家電業界関係者、ライターなどに加えて、一般ユーザーからも参加者を募り、子供を含めた40名弱が食べ比べに参加したという。

高級炊飯器6機種が大集合

 今回は6社の炊飯器を集め、各モデル2台ずつ用意した。1台は各社が推奨する白米炊きのコースで炊飯し、もう1台は各社それぞれ、麦飯(タイガー魔法瓶JPX-102X)、赤飯(パナソニックSR-SPX106)、早炊き(東芝RC-10ZWK)、冷やご飯(日立RZ-YW3000M)、玄米(三菱電機NJ-AW107)というように炊き分けをした。ちなみに、カデンカフェ開催時、象印マホービンは発売前だったため、2台とも白米の標準コースで炊飯したとのことだ。使用した白米は宮城県北部の板倉農産の「ひとめぼれ」。炊飯には浄水した水道水を使用した。
 「カデンカフェ」ではご飯がすすむようにおかずと味噌汁も用意。 各社の発表会でそれぞれ試食する機会はあるものの、各社のモデルを横並びにして食べ比べをするという機会はなかなかない。しかも、普段家庭で食べるときと同じようにおかずとの相性を楽しみながら試食できるというわけだ。試食は、各自が陶器の茶碗によそって自由に食べるスタイルで行われた。この貴重なイベントに、編集部から3人の女性記者が参加した。

M:共働きなので普段から早炊きを使って炊いている。かためのご飯が好き
H:共働き。かためのご飯が好き。お弁当をよく作るので冷めても美味しいご飯が炊ける炊飯器を探している
A:共働き。やわらかめで甘みの強いご飯が好き。家族はかためが好きなので炊き分けられるものが欲しい


メーカーによって味が違う

 それぞれの感想について紹介しよう。なお、一覧表に詳しくまとめたので参考にしてほしい。
 象印マホービンは「粒が大きい」「ツヤがある」「甘味」を感じるといった感想が集まった。
 「普段はかためを食べていて、やわらかめの味は好みじゃないのに、象印はすごくおいしい」というHの感想が印象的だ。
 NW-AS10搭載の、ボタンを押すと自動でふたが閉まる「スマートクローズド」に対しては、「これまで自動で閉めようなんて思ったことがなかったけれど、実際に使うと便利」「力をかけずにふたをぴったりと閉めることができ、すごくいい」という声が挙がった。
 タイガー魔法瓶JPX-102Xは、麦飯が好評だった。麦飯は食べなれないとニオイを嫌う人がいるというが、「これなら毎日食べられる」「香りがよい」とのこと「白米極うまコース」で炊いた白米については「香りがよい」「主張しすぎない味」という感想だった。
 東芝RC-10ZWKは、「白米かまど名人・おすすめ」と「そくうま」コースで試食。特に「そくうま」コースが印象に残った。編集部員のMは、普段から“早炊き”コースを使用しており、「時間が優先。味が落ちても仕方がない」と話していた。ところが東芝の「そくうま」コースで炊いたご飯を食べると「こんなにおいしいなんて!」と感動していた。
 パナソニックのSR-SPX106の「白米銀しゃりふつう」は、ツヤに感動したという声がある。また、昨年と比較して「昨年は少しやわらかすぎるような気がしていたが、今年は歯ごたえがありバランスがよい」などの声も聞かれた。また、赤飯については「絶品」「短時間でこんなにおいしくできるなんて」と好評だった。一方で、スチーム用にカップに水を入れる手間があるため、「忘れたら味が変わるのかな?」という声もあった。
 日立アプライアンスのRZ-YW
3000Mの「白米極上ふつう」は「甘味、ねばりのバランスがよい」などの感想が挙げられた。
 また、試食では「白米極上ふつう」で炊いてから5時間経過した「冷やごはん」を食べたが、水分をしっかり保持しており「これならお弁当に持っていきたい」との声が挙がった。
 三菱電機NJ-AW107は「白米・芳醇炊き(ひとめぼれ)」と「玄米芳醇炊き」を試食。粒感のある白米は、かため好きのHとMから「好みの味」との声が挙がった。玄米は、「ごわごわせず食べやすい」「これなら玄米が苦手と言う人にも食べやすそう」との感想も出た。その一方で、「白米に比べてやわらかい。個人的にはもう少しかためでもおいしいと思う」という声も聞かれた。

炊飯器の接客の切り口はいろいろ

 食べ比べてみると同じ白米を使っているのにメーカーによって味わいが異なると感じた
 味を説明するなら「美味しい」で終わらせずに「粒感がある」など、歯ごたえなども含めた説明をすれば、各メーカーの個性が伝わりやすい。また「私は普段やわらかめのご飯を食べているから、このメーカーが好きです」と主観で説明する方法もある。
 炊飯器の接客で、あえて美味しさを説明しないという向きもある。
 近畿地方の郊外店Aの調理家電担当者は次のように話す。
「お客様には、“高級炊飯器ともなればどれも美味しいですよ”と伝えます。その後、お客様が普段どんな米を食べているかを聞きます。例えば“新潟からコシヒカリを取り寄せている”というお客様なら“銘柄炊き分けコース”を搭載している機種をオススメします。
 “お米は特に決めていないけれどかためが好き”というお客様には、炊きあがりの炊き分けコースの説明をします。
 メーカーごとに味の違いはありますが、今は炊き分けコースが充実しているので、買った後にお客様の好みに調整できます」

値段の違いの伝え方も考える

 先日訪れたヨドバシカメラ マルチメディア梅田の展示は、モデル間の価格の違いが分かりすく工夫されていた。
 「価格差のワケ ズバリ教えます」と題したコーナーをつくり、同じメーカーでも下位モデルと最上位モデルでは何が違うのかを分かりやすく示していた。
 具体的には、釜の形状や素材、ヒーターの数などだが、スペック表の○×表で掲示するよりも、「この機能がついているから価格が高くなる」ということが、ひと目で分かりやすい。
 同店では、この他にも最上位機種を集め、メーカーごとの違いを示すコーナーを設け、売り場を歩けばメーカーの違いや、価格の違いについて分かりやすい工夫がされていた。

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 炊飯器売り場を取材すると、炊飯器の予算を決めて買いに来るお客が多いとよく聞く。
 単価アップに導くためには、「価格が高い理由を分かりやすく伝えること」そして「価格の価値を伝えるリアリティのある言葉」を売り場や接客で伝えることだ。
 炊飯器の本格的な商戦の前に、実際に使ってみて、その感想をスタッフ同士で情報交換してみてはいかがか。(伊森ちづる)

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